パワークエリで整えるExcelの使い方|「考える時間」を取り戻すために
日が落ちるのが早くなった冬の事務所で、ディスプレイの白い光に向かいながら、ひたすらコピー&ペーストを繰り返す。
今思えば、あの頃の僕は、それが「ちゃんと仕事をしている証」だと、どこかで思い込んでいました。
複数の取引先から届くリスト、見積書の断片、形式のそろっていないCSVファイル。
それらを一つの表にまとめるだけで、気づけば数時間が過ぎている。
VLOOKUPがエラーを出すたびに、画面を見つめては手が止まる。
「さっきまで合っていたはずなのに」と、原因を探す時間が増えていく。
こうした「整える作業」に追われるうちに、本来なら考えたり、判断したりする時間が後回しになっていく。
仕方がない、と自分に言い聞かせながら、どこかで慣れてしまっていたのかもしれません。
もし今、同じような終わらない手作業に疲れているなら。
今日は、Excelの中に最初から入っている「パワークエリ」という機能の話をしてみたいと思います。
Excelの手作業を減らす「下準備」の話

何度も繰り返している作業は、意外と多い
Excelで時間を取られるのは、集計そのものよりも、その前の段階がほとんどです。
- 列の順番を入れ替える
- 不要な列を削除する
- 全角と半角をそろえる
- 日付の形式を統一する
どれも難しくはありません。
ただ、毎回同じことをやっている。
「今回だけだから」と手で直し始めて、次もまた同じ作業をする。
この繰り返しが、じわじわと効いてきます。
パワークエリとは何か。かなり素朴な説明

パワークエリは、Excelに標準で備わっているデータを整えるための機能です。
関数を計算させるためのものではありません。
やることは、次のようなことです。
- ファイルやフォルダを指定してデータを読み込む
- 列を削除したり、名前を変えたりする
- 文字を分割したり、数値に変換したりする
- 複数の表を一つにまとめる
これらを、実際にマウスで操作しながら記録していくのが特徴です。
一度記録された手順は、次回以降もそのまま使えます。
同じ形式のデータなら、更新ボタンを押すだけです。
よくある使い方①:フォルダ内のExcelをまとめて取り込む

たとえば、毎月決まったフォーマットのExcelファイルが、フォルダにたまっていくケース。
以前なら、
- ファイルを一つずつ開く
- 必要な部分をコピー
- 一つの表に貼り付ける
という作業をしていたと思います。
パワークエリでは、
- 「データ」タブから
- 「フォルダから取得」を選び
- フォルダを指定する
これだけで、その中にある複数のファイルをまとめて読み込めます。
あとは、「このシートを使う」「この列だけ残す」といった操作を一度行えば、
次からはファイルが増えても、同じ手順で自動的にまとめられます。
よくある使い方②:表記や形式をまとめてそろえる

データが揃わない原因は、表記の違いだったりします。
- 「2025/1/5」と「2025-01-05」が混在している
- 数字なのに文字として扱われている
- 単位が列の中に混ざっている
パワークエリでは、列を選んで
- データ型を「日付」に変える
- 文字列を分割する
- 不要な文字を置換で消す
といった操作が、メニューから選ぶだけでできます。
しかも、その操作が順番どおりに記録されていく。
「どうやって直したか」を覚えておく必要がありません。
よくある使い方③:VLOOKUPの代わりに表を結合する

別の表から情報を持ってくるとき、VLOOKUPを使っていた人も多いと思います。
ただ、列が増えたり順番が変わったりすると、壊れやすいのが難点です。
パワークエリでは、
- 2つの表を選び
- 共通の項目(IDやコードなど)をクリックし
- 「結合」を実行する
という流れで、表同士をつなげます。
画面を見ながら選ぶだけなので、
「どこを参照しているのか」が分からなくなることがありません。
関数が苦手でも続けられる理由

パワークエリの操作は、「式を書く」というより、
「やったことがそのまま履歴になる」感覚に近いです。
右側には、
- 列を削除
- 型を変更
- 結合
といった操作が、時系列で並びます。
途中で「やっぱりここ、いらなかったな」と思えば、
その手順を削除するだけでやり直せます。
一度作ったものを、あとから直しやすい。
これが、思った以上に気が楽です。
実務で感じた、小さな変化
ある仕事で、複数の取引先から届いた数千行のデータを整理する必要がありました。
以前なら、単位や表記を目で追いながら直していたと思います。
そのときは、すべてのファイルを一つのフォルダに入れ、
パワークエリで「読み込み → 整形 → 結合」という流れを作りました。
最初は手探りで、「パワークエリ 使い方」と検索しながら。
それでも、一度形ができると、次からは本当に早い。
更新を押しただけで、同じ状態が再現される。
あの安定感は、なかなかありがたいものです。
データが整うと、気持ちも少し落ち着く
作業が早く終わると、判断を急がなくて済みます。
数字をもう一度見直したり、少し間を置いたり。
パワークエリで浮いた時間は、派手ではありませんが、
仕事の進め方を静かに変えてくれました。
まとめ:完璧に覚えなくていい
パワークエリは、全部を理解してから使う必要はありません。
まずは、
- 毎回やっている作業を一つ
- 「これ、まとめてできたら楽だな」と思うところから
それだけで十分です。
次に届く、少し面倒なExcelファイル。
それを一度だけ、パワークエリで整えてみる。
うまくいけば、その先はずっと楽になります。
それくらいの距離感で、ちょうどいい道具だと思います。
