脳疲労の対策を考え直す。50代になって分かった休み方
しっかり寝たはずなのに、朝から頭が重い。
午後になると集中力がにじむように落ちて、図面の寸法を何度も見返すことになる。
そんな感覚が続くと、「年齢のせいかな」と思いたくもなりますが、どうやら話はそれだけではなさそうです。
情報が多すぎて、脳が熱を持ったまま冷めきらない。
いわゆる「脳疲労」と呼ばれる状態に、知らず知らず入り込んでいるのかもしれません。
この停滞感に、気合や根性で立ち向かうのは、どうも違う気がしています。
必要なのは、脳を叱咤することではなく、きちんと休ませるための“構造的な手当て”。
視覚情報をいったん遮り、熱を逃がす。
そのために僕が続けている、ささやかな習慣についてお話しします。
1. 脳は、もう十分働いている

50代の日常は、思っている以上に情報密度が高い。
仕事では判断や調整が重なり、私生活でもスマホを開けば、次々と情報が流れ込んでくる。
設計の仕事でも同じです。
紙の図面や手描きの感覚を大切にしたい気持ちと、加速するデジタル化。その両方を行き来するうちに、脳はずっと回りっぱなしになっていました。
建築の「排熱」と、頭のオーバーヒート
建物を長持ちさせるには、断熱と同じくらい、熱をどう逃がすかが重要です。
実はこれ、脳にもよく似ています。
視覚情報の処理には、想像以上のエネルギーを使うと言われています。
- 情報が溜まる:未処理の用件や気がかりが、頭の中に居座る
- 熱がこもる:考え続けることで、前頭部がじんわり熱を帯びる感じ
- 流れが滞る:思考の順序が乱れ、いつもの判断が鈍る
眠っても疲れが抜けないのは、この「熱」が逃げ場を失っているからかもしれません。
建物に風の通り道をつくるように、脳にも余白が必要だと感じています。
2. 今日からできる、脳のクールダウン

僕がやっていることは、とても単純です。
特別な技術も、難しい理屈もありません。
まず「入ってくる情報」を止めること。
そして、物理的に冷やすこと。
それだけです。
視覚を休ませる、5分間の暗さ
脳に入る情報の多くは、目から来ています。
目を閉じていても、光が差し込めば、脳は完全には休めません。
- しっかり遮光する:厚手のアイマスクで光を遮る
- 音を減らす:耳栓やノイズキャンセリングで環境音を落とす
- 何もしない時間を決める:休むこと自体を予定に入れる
後頭部を冷やす、という発想
パソコンが熱を持てば、冷却ファンが回ります。
脳も同じで、特に首の付け根から後頭部を冷やすと、過剰な興奮が静まりやすい。
現場仕事をしていた頃に教わった「太い血管を冷やす」という考え方を、今も使っています。
| 項目 | 方法 | 感じられる変化 |
|---|---|---|
| 冷却 | タオルで包んだ保冷剤を首の後ろに当てる | 頭の熱感が引き、力が抜ける |
| 遮光 | 遮光性の高いアイマスク | 思考が外に向かなくなる |
| 呼吸 | 吐く時間を長めに | 落ち着きが戻る |
3. 図面が止まった、ある昼下がり
午後の事務所で、リノベーションの詳細図を描いていたときのことです。
どうしても動線と構造が噛み合わず、画面を見つめるほど頭が空回りしていきました。
以前なら、コーヒーを飲んで粘っていたと思います。
でもその日は、「ここで無理をすると、かえって遠回りだな」と感じました。
5分だけ、席を外す
引き出しからアイマスクを出し、手ぬぐいに包んだ保冷剤を首に当てる。
椅子に深く座り、タイマーを5分にセット。
最初は仕事のことが浮かびますが、後頭部が冷えてくると、意識が内側に引き戻されていきます。
タイマーが鳴って目を開けたとき、視界が少しだけクリアになっていました。
窓から入る光や、机の木目が、さっきよりはっきり見える。
不思議なことに、あれだけ詰まっていた図面も、「ここをずらせばいい」と自然に答えが出てきました。
休むことは、止まることではなく、次へ進む準備なのだと、改めて思いました。
4. 休息を、予定として扱う

この年代になると、効率化は「詰めること」ではないと感じます。
良い仕事を続けるために、あらかじめ余白を取っておく。
脳も、大切な道具のひとつです。
使い続けるなら、手入れが欠かせません。
僕が使っている、脳のメンテナンス道具
テンピュール スリープマスク
素材の質感と遮光性が、群を抜いています。
目元に余計な圧がかからず、きちんと暗さがつくれる。出張や移動中にも重宝しています。
小林製薬 熱さまシート(大人用)
派手さはありませんが、確実に効きます。
後頭部や首筋に貼るだけで、静かに熱を逃がしてくれる。常にストックしています。
結びに:自分という建物を、長く使うために
設計の仕事を続けてきて思うのは、建物は手入れ次第で寿命が大きく変わる、ということです。
人の身体や脳も、きっと同じでしょう。
50代は、経験という強度を持ちながら、スピードの速い時代に身を置く年代です。
走り続けるより、ときどき立ち止まり、熱を冷ます。
それだけで、景色は少し変わります。
明日の昼休み、5分だけ目を閉じてみてください。
その静けさの中に、次の一手のヒントが、案外すぐ見つかるかもしれません。
